楽曲紹介

 

J.ブラームス/交響曲第2番 ニ長調 Op. 73

 この交響曲第2番は、ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスによって作曲された。ブラームスが交響曲第1番の完成に20年以上の年月を費やしたのに対し、第2番は作曲開始から約4か月でほぼ完成していたと言われている。この曲は全体的に明るく爽やかな曲想となっており、“ブラームスの田園交響曲”と呼ばれることもある。

 構成は4つの楽章からなっており、第1楽章はニ長調、ソナタ形式。冒頭で低弦により奏でられる動機は曲を統一するものである。ホルンと木管による第1主題、ヴィオラとチェロによる第2主題を経て、幻想的な雰囲気をもつコーダへと移り、暖かい和音で終結する。第2楽章はロ長調、ソナタ形式。もの寂しげな雰囲気をもつ第1主題がチェロにより奏でられ、様々な楽器へ受け継がれる。木管による優美な第2主題が現れ、厚みを増したのち弱まり、静かに終わる。第3楽章はト長調、ロンド形式。オーボエによる主題で始まる、軽快な音楽となる。第4楽章はニ長調、ソナタ形式。弦による静かな第1主題に続き、管楽器が明るい旋律を奏でる。ヴァイオリンとヴィオラによる穏やかな第2主題が提示され、展開部、再現部を奏し、最後は金管楽器が華やかに活躍して結ばれる。

 

 

R.シュトラウス/オーボエ協奏曲 ニ長調 Av.144

 1886 年、ホルン奏者を父に生まれたリヒャルト・シュトラウスは、幼いころから音楽教育を受け、間もなく作曲も手がけるようになった。1933 年には帝国音楽局総裁の地位についたが、ユダヤ人の作曲家や作品の件でナチス政権と衝突、35 年にはその地位を降り、さらに彼の作品は一時上演禁止とされた。仕方なくミュンヘン近郊の山荘にこもったシュトラウスであったが、当局の要請や命令があるときは指揮にでかけ、音楽活動を行っていた。

 交響詩や声楽曲で知られるシュトラウスだが、1940 年頃からがいわゆる晩年期であり、次第にその作風に変化をみせ管楽器作品も多く書き上げた。最盛期にみられた劇的性格は影をひそめ、音響は控えめで、総じて軽快で美しい作品が多い。みずからの美しき時代を回想するかのように、青年時代の作風に彼は帰る。この時期の代表的な作品が「オーボエ協奏曲」である。1945 年の第二次世界大戦終戦を迎えたシュトラウスは、同年の 10 月にスイスへ移住し、翌 1946 年にかけてチューリッヒ近郊のバーデンに滞在したが、この曲はちょうどその期間に、スイスの美しい風光に憩いつつ書かれた。

楽曲は3楽章構成で、全楽章を通して切れ目なく演奏される。

 

 

A.ドヴォルザーク/序曲「謝肉祭」 Op. 92

 ドヴォルザークはチェコ近郊で生まれ育ち、幼き頃から音楽の手ほどきを受けながら育てられた。彼が1891年に作曲した謝肉祭は演奏会用序曲三部作「自然と生命と愛」のひとつである。アメリカに渡る一年前に書かれたというこの曲は全体を通した華やかな雰囲気から演奏会でもよく演奏され、まさに「生命」や「人生」といったものに対するいわば賛歌のような側面を持つ。多くの自然や人々、そして村の祭祀に関わっていく中で書き上げられた「自然と人生と愛」、特に人生を象徴する「謝肉祭」においては一見重くなりがちな人生観とは異なり、幸福感のある幸せなイメージで書き上げられている。

 冒頭から祭りを連想させる華やかさで始まるこの曲は、金管や打楽器を中心としたオーケストレーションで進んでいく。中間部では木管を軸とした緩やかな場面へと移り変わり、さながら祭りの後の夜が更け、そして明けていくようである。曲は徐々に盛り上がりをみせコーダでは熱狂は最高潮に達し、そのまま曲は閉じられる。ぜひ皆様も活気ある人間臭さ溢れるこの曲に身を任せ、まさに血湧き肉躍る感覚を味わっていただきたい。